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38話 ステフの温かい配慮と、二人の可愛らしい返事

Auteur: みみっく
last update Date de publication: 2025-10-23 06:00:35

 するとステフがにこやかに二人に言った。彼女の表情には、留守を任せる二人への心遣いが滲んでいた。

「お昼は一応、保管庫に用意しておきましたので、お腹がすいたら食べてくださいね」

「はぁい♪」

 アリアとノアが手を繋ぎながら、声を揃えて可愛らしく返事をした。二人は、ステフの配慮に感謝しているようだった。

「あと、魔法が使えなくても攻撃ができるアイテムを、皆に渡しておくよ」

 そらがそう言いながら、アイテムボックスから取り出したのは、護身用として用意した魔力弾を撃てる銃だった。見た目はコンパクトで、手の小さな少女たちでも扱いやすく調整されている。魔法の回路が組み込まれているため、魔力のない人間でも、初めてでもそれなりに確実に撃てるはずだった。万が一の時のために、そらは全員に最低限の自衛手段を持たせておきたかったのだ。

 外に出て、そらはすぐに的を出して、銃の使い方をレクチャーした。少女たちは真剣な表情でそらの手元を見つめ、言われるがままに銃を構える。……まあ、的には誰も当たらなかったけれど、一応使い方は分かったようなので、そらは最低限の安心を得ることができた。

 万が一の際の心構えと、手に持った武器の存在が、彼女たちの自衛意識を高めてくれるだろう。

「行ってくるね!」

 そらは振り向き、力強く告げた。

「気を付けてくださいなのです」

「気を付けてなの」

 アリアとノアは、手を繋いだまま、心配そうに手を振ってくれた。その瞳には、彼らの出発に対するわずかな寂しさと、無事の帰還を願う気持ちが滲んでいた。

 転移ポイントまでは近くの洞窟まで歩いて、そこから転移魔法で町の近くの洞窟へ。合わせて約30分の旅だった。

「こんなに近かったかしら?」

 ブロッサムが驚いたように言う。彼女の表情には、予想外の速さへの戸惑いが浮かんでいた。

 まあ、家から歩いて町まで行くとなると……無事にたどり着ければ、数日は掛かる距離だと思う。それに、魔物や魔獣が潜む危険な森を抜けなければいけない。ドラキンが言っていた通り、無事にたどり着けるわけがない。そらは、転移魔法の圧倒的な利便性を再認識した。

「町は近いんだねー。これから、ちょこちょこと来れるね!」

 エルが明るく笑って言った。その顔は、今後町に来る機会が増えることに期待で輝いている。

 ……やっぱり、そうなるよね。そらは予想通りの反応に、心の中でため息をついた。エルの言葉に気まずくて、そらはスルーして口を開いた。

「じゃ、ハンター登録に行こうか」

 そらはごまかす様に元気な声を出し、今日の目的の場所を告げた。その声には、逸る気持ちと、わずかな緊張が混じっていた。

「「「はーい!」」」

 ブロッサム、ステフ、エルの全員の声が重なって、軽快なお出かけの始まりを告げる。

 ――さて、何が待ってるかな。そらは、未知への期待に胸を膨らませた。

♢ギルドでの波乱

 町に入り、ハンターギルドに向かうと、朝の時間帯だったため既に混雑していて、受付には長い列ができていた。ギルドの中は、冒険者たちの熱気と、鎧や武器の微かな金属の音で満たされている。

 俺たちもその列の最後尾に並ぶと、後ろから苛立った声が聞こえてきた。その声は、周囲の喧騒を切り裂くように響く。

「おい。こっちは仕事なんだ! 急いでるんだ! 邪魔だ、退け!」

 後ろにいたのは中年の男のハンターだった。顔には粗い髭が生え、その瞳は血走っている。俺たちが子供のお遊びと見えるせいか、当然のように割り込もうとしてきた。

 前世の記憶があるからこそ、こういう非常識な行動には腹が立つ。子供だって平等に並んでいるのに。

(緊急なら割り込まずに先頭に入り事情を説明すれば良いんじゃないの!? わざわざ子供の前に入るのって、緊急じゃないだろ)

 そらの内心には、静かな怒りの炎が灯った。

 エルが、そらの腕を掴み、諦めた顔をして呟いた。その表情には、この世界の不公平さをすでに理解している者特有の達観が滲んでいる。

「まぁ……仕方ないねぇ~強い人が優先だし」

 エルが少し肩をすくめて笑い、この状況を受け入れようとする。ブロッサムはさりげなく、そらの服を掴み、低い声で呟いた。

「ですわね。文句を言っても勝てませんし……」

 ブロッサムも苦笑いをした。彼女たちの視線には、このギルドで力がすべてを支配するという、厳しい現実が映っていた。

 だが、そらは納得できなかった。彼の心の中には、強い義憤が渦巻いていた。

「強ければいいの?」

 そらが静かに呟き、男に向き直る。その目は不満と怒りの炎が灯っていた。周囲の喧騒の中でも、彼の声は確かな響きを持っていた。

「オッサン。ちゃんと並びなよ……子供がきちんと順番守って待ってるのに、大人が横入りして平気な顔してるとか……恥ずかしくないの?」

 男はそらの言葉を聞いて、さらに顔を歪ませた。

「は? こっちは仕事だって言ってるだろ? 子供のお遊びは後でもいいんだよ、クソガキが……」

 男はそう吐き捨て、威圧的な態度でそらを睨みつけた。

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